助成金システム

まとめると、現状の助成金システムは破綻しているし、市民の理解も得ていないと思う。


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行政が、助成金や補助金といったお金をくれる仕組みがある。
貰うのが得意な人はよく知ってると思うけど、うまく利用すると、これがかなり美味しい。

でも、普通に暮らしてたら、突然市役所の人がやってきて、
「はい、あなたに助成金あげますよー」なんて事は起こらない。

自分でどんな助成金があるかを調べて、沢山の書類を書いて、審査を受けないといけないのだ。
お金を貰ってからも、使途を確認するために会計の報告をしないといけなかったりする。

つまり事務処理コストがかかるので、数万円程度のために申請することは現実的ではない。
というのもあってか、助成金の相場は、だいたい数十万円からだと思う。

というわけで、助成金を貰う事業というのは、
助成金を貰わないと成り立たないものであったり、助成金が目的で始めるものになりがちだ。
自分がしようとしてる事がたまたま助成金の対象だったってケースもあるかも知れないけど。

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助成金漬けになってて抜け出せなくなってるような人もいるけれど、
逆に、助成金を貰うべきではないとする考え方の人も結構いた。

そういう人が言うには、「助成金を貰うと自由が無くなる」のだという。

事業の本質と異なる指示を受けたりして、事業が壊れてしまうのかな、と思った。
けれど、これはちょっと違うのかも知れない。
お役所は、沢山書いて提出した書類の内容を否定することは絶対にありえない。
自分のハンコを押して活動内容を認めてしまっているんだから、反故には出来ないのだ。

指導が入るとしたら逆で、提出してないことをやろうとした場合だろう。
せっかくなのでついでにこういうのも、みたいなアイデアが否定されるんだと思う。

だから、やってみないとわからないような、本物の事業をやっている人にとっては、
助成金を獲得するのは、相性が悪いことになってしまう。
(ベンチャー経営にとって、失敗した事業の損切と転換は、生命線のようなものなのだけど)
突き詰めると、結果がわかりきっている単純化された事業に陥りがちだということだ。

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もう一つ、助成金について、決して無視できないネガティブな要素がある。

それは、「助成金を貰っているだけで攻撃をしてくる奴がいる」ということである。

こいつは、納税者の立場を取っていて、原則としてすべての行政事業は無駄であると主張をする。
公務員を全員クビにして、国家の歳出をゼロにすれば、納税額がタダになると無邪気に考えている。
警察って要るよね? 消防も要るよね? みたいに一つ一つ確認していったりして、
社会における事業の必要性を説くのが、無理解に対しては正攻法なのだけど、
ひどいのになると、すべてを否定することが目的なので、事実上、議論には参加してこない。

きちんと書類を作って採択されてやっている事業なのに、無用な攻撃を受けるリスクがあるわけだ。
「どうせあいつら、助成金で飯を食うためにやってるだけだろ」とか言われてしまうのだ。

そして、消費税が高いみたいな、政治不信のある人に、こういう主張は共感されやすい。

さらにまずいのは、こういった攻撃を防ぐために、役所の特に現場の人が、予防的に、
「大義名分がしっかりしていて非難されにくそうな事業」を求めてしまうことにある。

そうすると、どんどん「口ばっかり」の事業が採択されてしまうことにもなりかねない。
東京のコンサル会社なんかが、そこを狙ってつけこんでくるわけだ。
それで、派手だけど継続性のない事業をした挙句に、「また無駄遣いをした」と攻撃されるのだ。

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行政は市民に対して、何らかの社会的発展を促すために助成金を出している。
これは本来、新自由主義の暴走を止めるために良い働きをするはずなんだけれども、
助成金を攻撃している人の中には、社会主義者のほうが多いような印象がある。

企業が自分の金で、カネを持ってる消費者の為にやった方が良い、というのが、新自由主義で、
貧困な人を救うように国家が介入して、仕事を分担しましょうね、というのが、社会主義ね。

新自由主義の価値観からいくと「うまいこと行政の金を引っ張る」事も実力のうちなので、
他人を助成金を羨ましいとは思っても、それを攻撃する動機は実務的にはあんまり無い。
「情けねーなー、商売人なんだから商売で稼げよ」とは思うかも知れないけど。

だから社会主義者のほうが「この事業は理想的な分配では無い」と腹を立てたりするのだろう。
事業には当然に恩恵を受けるターゲットが設定されているので、それを否定するわけだ。
あの地区ばかりずるい、老人ばかり割引だ、むかつくから潰してしまえ、って感じか。

いずれにせよ、こういう「市民の攻撃」は、せっかくの事業を台無しにする恐れがある。
目の前の助成金事業を潰しても、それで減税されることなんて無いだろうになあ。

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まとめると、現状の助成金システムは破綻しているし、市民の理解も得ていないと思う。
生活保護と同じように、政治では貧困者を救えないのだ。

たとえば市民に対して、「助成金事業の意義」を理解して貰うための学習機会を与えてはどうか。

たとえば人手とかの「カネを渡す」以外の方法で助成するのはどうか。

たとえば「働く女性を支援する事業」と「子育て女性を支援する事業」と「男性向け事業」を、
同時に助成するのはどうか。

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この記事では、「4月から市営住宅を離れること」についても書きたかったんだけど、
客観的かつ公平な文章を書こうとすると、ぜんぜん刺さらなくなっちゃうなあ。

「タダより高いものはない」と思ったから、家賃を払うことにしました、というのが、
いまの俺たちの自治方針で、これは妥協の産物なのだという残念さを感じているのであった。

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