駅前の駐車場を無料にする

男子部屋の興味深い雑談ネタを独自の視点から記事にするシリーズ。


 ●

「明らかにやったほうがみんなハッピーになれるのに、
 みんなが一丸となって取り組まないから実現されていないこと」

というのがある。

たとえば、Aという、生活に必要なサービスがあり、
みんなが別々に業者に依頼して、サービスを受けている。
これを、地域でひとまとめにして、一つの業者に依頼すれば、全体のコストが下がる。

これを実現する能力のある仲介者Xが現れて、
みんなをそれぞれ説得して、コストカットを実現すると、カネが手元に残る。
おおよそ、みんなの手元に残るようにするけど、一部はXにも投資して貰う。

このカネを使って、Bというサービスを地域でひとまとめにして、コストカットを図る。
そこで得た、もっとたくさんのカネをCというサービスに投資して・・・。

という事を根気よく続けていけば、やがて、でかい事業に取り組むことが出来る。
カネがあるし、これまでの事業で得てきた信頼関係があるからだ。

 ●

という筋書きに対して、俺にはいくつかの疑問がある。

・ABCというサービスは沢山存在するのか?
・Xは地域に対して善だと言えるのか?
・「でかい事業」は、本当に「みんなハッピー」になれるものなのか?

ただ、「みんなをまとめてコストカットする」という基本方針には納得出来る。
たとえば、一人暮らしをやめて、シェアハウスにすれば、生活費は大幅に減らせる。

団地の各家庭が自転車の空気入れを買わずとも、団地に一本あればいいとか、
共用のボディソープを置きつつ、お好みで使いたい人は個人的に買うとか、
つーちゃんが鍋を作り始めたら、みんな食事を一緒にするようになったとか、
すんげー細かい沢山の体験から、ABCというサービスが存在する予感はしている。

でも、そこから得たカネを、仲介者Xに投資するという部分には疑問が残る。
ここで生じるのは、意識改革だ。
「みんなでシェアすればコストダウンで幸せになれる」という認識を与えることで、
他の何かもどんどんシェアしていこうぜ、というムードを作り出す事が肝要である。

とはいえ、当たり前だけど、自転車の空気入れをシェアすれば、ホームセンターは損をする。
料理をシェアしたら、スーパーが損をするかも知れない。
そもそもルームシェアをすると、不動産会社が損をする。
お金が浮くってことは、その裏では誰かが損をしている訳である。

ここで仮に掲げたゴールである、「駅前の駐車場を無料にする」について考えても、
少なくとも駐車場のオーナーは損をする。
駐車場代をXが肩代わりするとしても、それによって得られる経済効果について、
Xは各店舗に公平に利益を再分配するスキームを持っていない。

市場原理から考えると、「駅前の駐車場を無料にする」ことが出来るプレイヤーというのは、
駐車場を無料にすると一番得をする(ということがわかっている)プレイヤーに他ならない。

 ●

さもなくば、自治体が駅前に無料駐車場を作ってしまうしかない。

「補助金(≒国民の血税)を使うってことは全員がマイナスになるから望ましくない」
ので、
「民間の力だけで利益を出すことに意義があるんだ」
というのだけれども、前述のスキームでは個人あたりの損得の差が激しすぎる。

もしも「駅前の駐車場を無料にする」ことがみんなハッピーになれるという確信があるなら、
それこそXが民間で奮戦することじゃなくて、地域の全員で取り組むことのように思える。

 ●

補助金漬けが人を腐らせるということはわかるんだよ。

鯖江駅前の商店街は、なんと、店の権利さえ所有していれば、
常にシャッターが降りていても、毎月補助金が出るらしい(ほんとに?)

「せっかく補助金をあげているのに店を開けてくれないなんて嘆かわしい」とも言えるけど、
「まるで鯖江市がお金をかけてシャッター街を作っている」ようにも見えてしまう。

商店街を活性化させるために補助金を支払うというのなら、
せめてシャッターを開けている店に対してだけ渡すのが筋じゃないの?
そうすれば、シャッターを開けるために店番の雇用も生まれて、経済も少し回ると思うけど。

「行政のカネは絶対に受け取らない」と突っ張っているHana道場は、
木金の店番を増やそうかとか計画しているらしいぞ。

 ●

でも、「駅前の駐車場に補助金を払って駐車場代を無料にする」という方法は、
少なくとも「駐車場を確保することで駅前への車の乗り入れ増やす」という目的には合致する。
シャッターが閉まってて停められない駐車場なんて、流石に無いだろうからね。

 ●

もっと言えば、「駐車場を無料にすれば市場が活性化して街全体が儲かる」という理屈なら、
「飯屋を無料にすれば市場が活性化して街全体が儲かる」とも言い換えることが出来る。
これだと、セーフティネット的な機能も果たせるので、街の取り組みとして先進性も大きい。

「田舎の人は駐車にお金をかけることを納得しない気質だから郊外のモールに行く」
という筋書きと、
「外食は高いから家で済ませるけど、タダなら食べに行ってもいいかも」
という筋書きは、客の誘導や、特定業種の犠牲という視点では、本質は同じだろう。

うどん屋をやっていたつーちゃんに「駅前にタダ飯屋作ったらよくね?!」って言ったら、
「そりゃあ、飲食店はやってらんないでしょうねえ」という、当然の反応が返ってきた。

PageTop