メンヘラ製造機

本来書きたかったのは、小説家のくだり。タイトルは後付け。


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ちょっと仕切り直し。

私はフリーランスライターです!
品川にマンション買ってくれる男がいいな!

というのが、力を持った「言葉」だ。

つまり、時系列で言えば、彼女を「ライター」にしたのは、彼女自身の宣言なのだ。

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そして「俺が品川にマンションを買ってあげるよ!」というのもまた、力を持った「言葉」だ。
こういう、夢を見せてくれる男子に、うっとりする女子がいるわけだ。

今すぐにマンションが買えるほどのカネを持っているかは問題じゃなくて、
私に夢を見させ続けてくれるという保証、約束、そういう事を出来るって点を評価するのだ。

俺なんかは自然派なので、すぐ電卓をはじいちゃう。
仮に5000万円で買えるとして、固定1.5%の元利均等返済なら、30年ローンで毎月17.2万円だ。
30年続く仕事も無いし、利子だけで1212万円も払うのは腑に落ちないので、ごめんね、ってなる。
それでも、電卓を叩いてる彼、カッコイイ・・・♡ ってなる人は、俺とつきあってください。

ともあれ、先に「言葉」を発してから、後付けで行動をする、というやり方がある、という話。

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それで、喧嘩別れする段になると、「約束を守れ!」って言い争いになる。
これが、メンヘラ製造機の発生根拠なんじゃなかろうかと思う。

男が女をダメにするのか?
女が男をダメにするのか?

たぶん、どっちでもあって、夢の甘さが麻薬のようなのだろうよ。

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じゃあ「夢の無い人間って、魅力的か?」と言われると、そうでもない気がする。
たとえ出来っこなくても夢を語る人。
出来るかも知れないのに夢を持たない人。

若い女子にモテるのは、断然前者だ。
だからサラリーマンよりミュージシャン志望のフリーターになればいいのだ。

それを可能にするかどうかは「宣言」にある。

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ありえない仮定だけれども、もしも俺が事前合宿の時に、
自分のことを「小説家です」と名乗っていたら、どうなっていただろう、と夢想する。

俺は必死に小説を書いていただろうか。
テレビに「小説家」として出るために、でしゃばってカメラの前に立っただろうか。
小説のネタを探すために、鯖江の街を取材して回っただろうか。

言語化が難しい不思議な体験移住を言葉にしてみたり、
ポエムを綴って繊細な事柄を表現するような自分になれていただろうか。

それで万に一つでもミリオンセラーを書き上げて豪華印税生活に突入するか、
はたまた絶望に打ちひしがれて、精神を病んでしまったりしたんだろうか。

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でも、ここにいると、絶望しても、ほぼノーダメージなんだよな。

貯金を食いつぶして生きています、と言ってしまうと、可哀想な存在になっちゃうけど、
みんなが米と野菜と肉と酒を持ち寄ってくれたので生きていけてます、と言えば、
まだまだチャンスはあるんだから頑張ろうとか、別のことをしてもいい、と思える。

「宣言」っつーのは、起業家とか農業従事者とかがやるもんであって、
ゆるい移民がやるもんじゃないのかも知れないけど、
それでもリスクの少ない「宣言」が行えることは、
アメリカナイズされた自己啓発のような生き方の支えにこそなれど、妨げにはならない。

やっすいシェアハウスに住んで「俺は金持ちになるぞー!」って言ってもいいのだ。
そして、別にそんなこと言わないで、だらだら昼寝しててもいいのだ。

そういう器用な生き方も許容されるのが、ゆるい生き方なのかも知れないね。
失敗しても受け入れてくれる部屋があるんなら、メンヘラも減るかも知れないぞw

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