ゲーム

パソコンゲームが趣味の一つだったんだけど、あんまり遊ばなくなった。


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コアなゲーマーってほどじゃないけど、俺はゲームが好きだった。
ファミコンで育ったし、作った会社でもゲームづくりに取り組んでたし。

一番好きなジャンルはRPGで、剣と魔法のファンタジー世界に住むやつが良かった。
家を建てて家具を配置したり、友達を招いて盛り上がったり、
気が向いたら狩りに出てお金を稼ぎ、また新しい家具を買い集めたり。

まあ、もともとあんまり牧歌的な遊びでもなく、
強くないと生き残れないような厳しい側面があり、やがて遊ぶのをやめてしまった。

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それでなんか自己完結で遊べる町づくりゲームをやるようになった。

有名なのは、架空の都市の市長になって都市開発をする「シムシティー」とか、
架空の国家の支配者になって文明の発展を目指す「シヴィライゼーション」とか。

いずれもスケールが大きくて、人口数十万人の都市だとか、
抽象化された人口数千万人の国家だとかを作るので、大味ではあった。

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やがて「トロピコ(Tropico)」というゲームに巡り会った。

これは人口数百人の南海の島を開拓するゲームで、
やること自体はシムシティと同じく、家を建てて農場牧場を作って、
道を引いて町を作っていくんだけれど、ディテールがだいぶ細かい。

島に来て住んでくれる人には、一人一人プロフィールが設定されていて、
病院の向かいの家に住んでる建築家の山田太郎さんが、
新しく牧場を作るために歩いて行って建設業務をして帰ってくる、
みたいなことを追いかけて確認することが出来るようになっている。

「プレジデンテ(大統領)」である自分のキャラクターも住んでいて、
このキャラクターだけは自由に動かすことが出来る。
住民に向けてスピーチをして人気取りをしたり、酒場で飲んだくれたり。

ゲーム性自体は荒削りなところもあるんだけど、ジョーク混じりのテキスト、
陽気なラテン音楽の流れる中で、ちまちまと動いてる人を眺める日々を過ごす感じだ。

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そのあとで「バニッシュト(Banished)」というゲームに手を出した。

これはトロピコよりもさらにディテールが細かいゲームだ。
薪を割って暖を取らないと凍死するし、人口も勝手に増えまくったりしない。

カップルが同じ家に住むと子供を増やせるんだけど、
生産力ばっかり意識して共働きにかまけてると、夫婦が高齢化してて子供が作れず、
しまいにはジジババばっかりの寒村になって全滅するという凄いゲームなのだ。
うーん、生々しい!

結局このゲームを簡単に攻略する方法は、売れる農作物を出荷して、
得たカネで村に足りないものを調達することで魅力的な町作りをすれば、
移住したい若者を呼び込めるので、子供を作る機会を増やせる、という流れだった。
やっぱり生々しい・・・。

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俺はこの素晴らしいゲームを遊んだ結果、なんか凄いがっかりしてしまった。
結局カネがすべてなのかと。地方が生き残るにはカネを稼ぐしかないのかと。

そんでまあゲームにも飽きたので、旅行をすることにした。
一年間くらいかけて、全都道府県を踏破するのを目標にした。

飛び回っているうちに、観光都市開発って面白いんじゃないか、と思い始めた。

公共交通機関を降りて、駅前から観光バスに乗って市街を散策する。
観光スポットについて土産物屋に入ってめぼしい物をつまんで、
入場料を払って珍しいものを見て回る。夜は特産品を食べてホテルに泊まる。

こういう流れをうまく実現出来している街もあれば、ヘタクソな街もある。
そのあたりの案配をゲームにすれば面白いんじゃないかな、と。

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それで、旅行中にゲームを作るための素材を集め始めた。

駅前の写真を撮り、人の流れを観察して、どこでお金を落としてるのか追ったり、
車社会なのか、古い市電がうまく活用されているか、商店街は活発か、とか、
そういう事を気にしながら旅行してみると、また違った発見があって良かった。

そのうち「観光都市に住む人たち」に興味を持ち始めた。
観光事業が無くても生きていける人たちの暮らしと、
観光に頼った都市の人たちの暮らしは、結構雰囲気が違うんだな、と感じた。
後者が親切かというと必ずしもそうではなく、寂れた街で優しさに触れることも多かった。

途中からゲーム作りのことがどうでも良くなってきて、
リアルに観光都市開発の仕事に携われないかな、とか、おぼろげに思うようになってきた。
でも、ずっとIT業界に居たので、他業種の仕事を探す方法がわからなかった。

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というようなことを最近ふと思い出した。

ひょっとして、俺は今、最高に面白いゲームに参加してるんじゃなかろうか。

まずは半年の猶予期間を活用して、自分の生活手段を確保しましょう。
それと並行して、なんか面白いことをやって、まわりを盛り上げていきましょう。
愉快な登場人物、臨場感のあるストーリー、実感できるフィードバック。
ほどよい主人公感。何より、いかようにも出来る自由度。

最悪ゲームオーバーになっちゃっても、札幌に帰るだけだし、
貯金がガッツリ無くなるとか、二度とチャレンジ出来なくなったりすることもない。

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ゲーミフィケーションって方法論がすべての人に肯定されるかわからないし、
「地方創生を遊びのように考えるなんてけしからん!」って意見もあるかも知れないけど、
その中でも「ゆるい移住」には、楽しく盛り上げることを肯定されているムードがあって、
「人生を楽しく過ごす」という大前提に忠実なまま、良い事が出来そうな気がしてきた。

サバエバルゲーム。

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