持たない幸福論

全体としては、読んでて凄く気持ちよくなる本だった。俺に合っている。

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実は買う前に目次と試し読みだけでイメージを膨らませて書いた私見があるので、
最初にそれを載せてから、そのあとで読んだ感想を載せようと思います。

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「はじめに」

18ページぶんもあって説明が丁寧。
「世の中つらいよね。でもレールから外れて好きなことやったっていいんじゃないの?」
みたいな事が書かれているように読める。

問題提起にあたる導入部分なんだけど、別に違和感は無いな。
でも、この部分が理解できない、受け入れられない人も多い気がする。

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「第一章 働きたくない」

(読む前)

俺も冗談(か愚痴)で、働きたくないとか言っているけど、
厳密に言うと「働きたくない」という言葉だと、俺的には語弊がある。
「カネのためにつまらない行動をしたくない」のだ。

なので、やりがいのある仕事はウェルカムだ。

だけど、「やりがい」ってのは押しつけられるものじゃなくて、主体的に納得するものだ。
求人票の「正社員募集! やりがいのある職場です!」みたいなのは、なんか違う。

たとえば俺は、自分が遊んだゲームの攻略法をブログに書くのが好きだ。
「保存版」「初心者向け」「●●のススメ」なんて名前をつけて公開すると、
知らないうちに、とんでもない数のPVをたたき出していたりする。
現金は一切貰って無いけど、こういうのがまさに「やりがいのある仕事」だと思う。

じゃあ、ゲームの攻略本を作る会社に就職したいかというと、そうでもない。
攻略本を作るために苦手なゲームを遊びたいと思わないし。
一日八時間フルタイムでゲームの攻略法ばっかり考えるような生活もしたくない。

長時間労働するのが当たり前、という価値観を避けたいとは思うけど、
それを「働きたくない」というのは語弊があるよなあ。

この本のAmazonのレビューを見たら、
「自称ニートだと書いてあるが印税で儲けてるじゃねーか」
みたいなことが書いてあって笑った。

才能があるからこそ社会から外れても食っていけるんだろ、というやっかみなのだけど、
「本を書く仕事だけをやりたいからやった」ということなら、
まったく働かないよりも、むしろ理想的な働き方なんじゃないかと思うぞ。

(読んだ後)

どうも、この筆者は、働くことに否定的というか、トラウマがあるんだと思う。

自分で会社作ったら、いくらでも好きな働き方は追求できると思うけどね。
個人事業がいいならそうすればいいんだし。そんなに否定することかな?
極論言えば、会社員やりたいなーと思ったら、気が済むまでやれば良くない?

ひょっとすると、俺が筆者と比べて、働く能力が高いってことなのかも知れないけど。

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「第二章 家族を作らない」

(読む前)

これは俺の感覚だと、いまの時代、作らないのが当たり前って世論になってると思う。
別に死ぬまで独身でいても、後ろ指をさされたり、恥ずかしいってことは無さそう。

俺は子供も欲しいし家族も好きなので、否定的な意見を言う気は無いけど、
俺自身は、結婚をするためのロジックを組み立てられてないことがわかった。
「旅の人」が条件になる以上、合いそうな人は見つからないような気がしている。

(読んだ後)

これは逆に、題名よりも内容がマイルドだった。

二人っきりの生活に縛られるのは苦しいから、3~6人くらいの共同生活のほうが、
かえって過ごしやすくていいんじゃないの? みたいな話で、目から鱗だった。

情熱的な恋愛期間中だけ二人暮らしやホテルを利用して、
あとはルームシェアで子育てしたっていいんじゃないか、みたいな話。

そういう価値観の女子が見つかったら、ワンチャンあるかも。

介護の問題だけは答えが無かったな。
筆者は37歳かな。「これから考えていく」みたいに書かれていた。
年齢差のあるルームシェアって成立しにくいんだろうかね? 不公平感が出る?

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「第三章 お金に縛られない」

(読む前)

読書、将棋、散歩、園芸、そしてネットと書いてある。
このへんは割と同意かな。むしろ俺のほうがややネットかつ無料寄りかな。

でも俺は旅行が好きだ。景色見るのがほんと好き。
そして旅行にはお金がかかると思う。だからお金が欲しい。

(読んだ後)

料理とDIYの話が書かれている。筆者は生活スキルが高いみたいだ。

俺はスーパーで飲み会の買い出しをするのすら満足に出来ない無能な人間なので、
さらっと「料理を楽しめば、趣味も出来て節約も出来て旨い物食えるじゃん」とか言えない。
お金なら払うから、誰か俺のために料理を毎日作って欲しい、とか思っている。
じゃないと毎日カレー作って食ってると思う。

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「第四章 居場所の作り方」

この章は試し読みが無かった。

(読んだ後)

筆者は他人との関係構築と維持をかなり大事にしている。
自分が生活に困ったら、知人に声をかければ何とかなる、とも考えている。
たぶん居場所を作ったり、人に頼るのが上手なんだと思う。

居場所を作るのが苦手な人が参考にするには、ちょっと難しく感じた。
まず主催しましょう、いろんな人集めましょう、場所とテーマを用意しましょう、
参加者が悪口を言わないようなムードづくりに努めましょう・・・。
正論だけど、すげー難しいよ。

そして、この章だけなんか浮いてるんだよね。

他の3章と同じ論調なら、第四章は「居場所を作らない」じゃないといけないと思うんだ。
もしも、こういう目次だったなら納得できる。

1. 複数の場所に顔を出す(一つの場所に固執しない)
2. 合わない人とは棲み分けをする
3. 人の流動性を保つ(一つの場所に長居しない)
4. ゆるさを保つ
5. 主催者にならない
6. 空間をキープしない
7. 用が無くても集まらなければいけないような義務感を持たない
8. みんなで一緒に何かするということに縛られない
9. 人の悪口は出来るだけ言わない
10. 滅びたら別の所に行けばいい

これこそが、自由に伸び伸びとしている状態ではなかろうか。

思うに筆者は色んなコミュニティを「持ってる」から、
運営者の苦労を理解出来る人だけがコミュニティに集まって欲しいんだよね。
だから、運営者から見た理想的なコミュニティメンバー論を語っているのだと思う。

俺が目次を反対の意味に書き換えたのは、5,6,7,8だけなんだけど、
このうち、5,7,8は、まさに「ゆるい移住」が取り組んでいることだったりする。

ゆるい移住にあるのは、家賃無料の「空間」だけだ。
市は煩く主催者として管理しようとしてこない(ように頑張って努めている)し、
義務や強制や条件みたいなものを極力減らして、何もしなくていいようにしている。

そうやって、古い体験移住の枠組みやコミュニティ論から逃げることで、
自由で幸福な移住体験を醸し出しているんだと思うんだよなあ。

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